就職事例

はじめての就職

2015年夏、知人から若者職業準備訓練を紹介され、自分も何かしらのサポートを受けてみたいなと思いました。
障害者手帳の取得には抵抗はなく、むしろ安心感がありました。
就労移行支援ではビジネスマナーやパソコン操作、コミュニケーションの大切さを学び、希望していた事務職に応募。
面接練習を何度も重ね、はじめての就職先が決まった時は夢のように嬉しかったです。

つまずき

業務内容は事務補助ということで入社しましたが、午前中のルーティンとして清掃業務がありました。
元々体力には自信がなく、重たい掃除機を抱えてのビル清掃がつらくなっていきました。体力的にも精神的にも限界を感じ、2か月ほどで退職。入社前に職場実習ができない会社であったため、想定外の事態に悔しさだけが残りました。
通院をしながら、体調が良い日は家業であるリンゴ園の手伝いをして過ごしました。気分転換のつもりで、自宅からほど近かった同法人のB型事業所を見学し、楽しそうに仕事をしている人達を見て、ここから再出発したいと思いました。体がだんだん休まり、自分でも元気になっていくのがわかりました。
働くことの厳しさを知った一方で、この場所では笑って話せる仲間ができました。そのことが自分にとって心の支えとなりました。


―リンゴ園の手伝い

好きこそものの上手なれ

再就職を考えるようになったのは、B型利用から約4年が過ぎたころ。作業所での業務は誰よりも覚えたつもりです。 人間関係も順調でした。そして気づいた時は、就職し卒業していく人たちを見送る側になっていました。
いつまでも親からお金をもらってはいられない。自分が働いたお金で、好きな本、好きな洋服、好きなものを買いたいと思うようになりました。
これまでずっと、事務系の仕事に就きたいと思っていましたが、自分が目指したいものは本当にそうなのだろうかと疑問を持つようになりました。そんなとき、携帯電話を販売する会社の求人が目に留まり、自分の好きなもの、興味のあるものに囲まれて仕事をしてみたいと思ったのです。
職場実習も行いながら、今度はちゃんと段階を踏んでの就職でした。
現在のメインの業務は、携帯電話の入庫チェックです。いち早く最新の機種に触れることができ、新しい情報が次から次へと出てくるこの仕事はとても楽しいです。


―携帯電話の入庫チェック

将来について

週5日5時間勤務。バックヤードと店舗を行き来し、インカムから聞こえる社員たちのやりとりや、商品情報などを聞きながら、毎日が勉強です。
接客は自分の仕事ではありませんが、お客様とのやりとりに困らないように応対スタッフではないことが表示された腕章を付けて店頭にでています。そうした職場での配慮はあっても、将来的にはショップに来てくれたお客様へのご案内ができるようになりたいと思うようになりました。
発券機の前で戸惑うお客様を見かけたら「今日は何でお困りですか」とすぐに声をかけてあげられるスタッフになりたいです。 今の楽しみは、通勤時に寄るカフェでのひとときです。バスの乗り換えで時間があるときに、自分へのご褒美として、ケーキセットで一息入れる時間が好きです。
将来は心配かけたご両親へ親孝行をしたいですし、働きながらリンゴ園の手伝いも続けていきたいと思っています。